将棋が終わる日

 ChatGPTの性能には驚きです。もう何年かすると文芸の世界でも、人工知能が作った作品の方が面白いものがでてくるかもしれません。

 そうなった時、参考になるのが現在のプロの将棋界です。将棋の世界ではすでに2017年に名人が人工知能に負けました。その後、将棋界では人工知能をどのように扱うかでさまざまな議論がありました。
 
 仮に人工知能が判断した次の最善手があったとしても、その手ではなく棋士が自分の直感を信じて、指して勝つこともあるでしょう。負けることもあるでしょう。それを指すかどうか判断し選択するのは人間です。選択権は人間側にあります。勝っても負けても、そのことに意味を与えることができるのが人間です。

 人間にあって人工知能にないのは「経験を通して知る」という事です。セックスについて言葉を使って説明はできますが、セックスをしなければセックスを知っているとは言えません。言葉によって説明できるのは概念にすぎません。

 ですので、人工知能と人間のそれぞれの特徴を考えながら、人工知能を役立てる必要があります。

 それから僕が一つ思うのは、今後コンピューターの性能が飛躍的に向上して、もし将棋で先手番が必ず勝つ手筋を見つけてしまったらどうなるのか?という事です。その手筋を禁じ手にするのか、将棋が終わるのか。可能性はゼロではありません。もしかしたら「虎将(阪神タイガースの監督ではありません)」といったような新しい駒を増やしたりして、新しい将棋をつくるような気がします。