前回の詩に脱字があったので加えました

生きているんだ

ビルの谷間から、ビルの下の道端の花束に射す太陽の光。

花束に向かい目を閉じ、手を合わせるスーツ姿の男性。

スーツ姿の男性の足元に消えかかった血痕。

自殺した女子高生の背中を、絶望が押したのかな。

ある物理学者が言ってたよ
「太陽が地球の周りを回っているように見えるのと同じように、時間も我々の周りを流れているように感じます。しかし、動いているのは時間ではなく意識のほうなのです。時間は今しかありません。過去も未来も人間の想像の産物です。実は永遠の今の中を意識が移動しているのです」と。

それが真実なら、人は死なない。いや、死ねない。過去も未来も無い所に死は入り込めない。過去と未来が人の想像の産物なら、「死」も人の想像の産物に過ぎない。人が認識できないものを、人は「死」と呼んでいるんだ。

彼女は生きている。生きているんだ。

永遠の今のどこかで生きているんだ。

認識の彼方で生きているんだ。

僕が今見ている真っ赤な夕日は、どこかの国では眩しい朝日なんだ。