星々の結婚

◆少年がベランダで望遠鏡で星を観ている。そこに少年の父が来る。

父:翔太まだ起きていたのか。

息子:この間おばあちゃんが言ってたんだ。星と星が結婚して星が一つになることがあるって。僕の好きな美津酒六星もいつか無くなるの?

父:結婚?ん~そうだな~。

◆父が望遠鏡をのぞき込みながら、望遠鏡の向きを変える。

父:見てごらん。

◆少年が望遠鏡をのぞき込む。

父:今望遠鏡から見えているのが、ミウラ星雲だ。ミウラ星雲はトモカズ星雲とモモエ星雲が一つになってできた星雲なんだ。星が動いているように星雲も動いている。これなんかは結婚といえるかもしれないね。

◆また父が望遠鏡をのぞき込みながら、望遠鏡の向きを変える。

父:見てごらん。

◆息子が望遠鏡をのぞき込む。

父:今見えているのがスターミキティーだよ。スターミキティーには4つの衛星がある。一つの大きな衛星がショウジという衛星だ。もともとスターミキティーには衛星がなかったんだ。でも、大きな隕石がぶつかって4つの衛星ができたと言われている。これなんかも結婚と言えるかもしれないね。父さんが子供の頃はショウジが見えたんだが、今は見えなくなったよ。

息子:・・・と。僕にはショウジが見えるよ。

父:確かに、結婚して消滅したように見える星があるかもしれない。でも質量保存の法則というのがあって、星が消滅したように見えても形を変えるだけで・・・。眠ったか・・・。

◆眠った息子を抱きかかえながら、父が望遠鏡をのぞき込むとショウジが一瞬見えた気がした。

※2022年8月21日にブログの内容を一部変えました。