オタマジャクシミルクティーと小さな島

冷めたミルクティーの入った大きなコップに
たくさんカエルの卵を入れる

今日もまた太平洋の小さな島がひとつ
海に沈む

孵化したオタマジャクシが
ぶつかりながらミルクティーの中を泳ぐ

少女の怒りを、
先に死ぬという特権を
持った老人たちがあざ笑う

オタマジャクシとミルクティーの入った
コップを抱えて近くのため池に向かう

愛と死はコインの裏表だ
 
一昨日の大雨で溢れそうなため池に
たくさんのオタマジャクシが入った
コップごと投げ入れる

愛の中には死があり
死の中にも愛がある

ミルクティーと池の水が混ざり合う
たくさんのオタマジャクシが池にひろがる
 
水平線に夕日が沈み

何匹のオタマジャクシが
カエルになれるのだろう

沈んだ島の島民の涙が海の底に沈む
海の底では海亀が優雅に泳いでいる
 
※2019年12月20日に修正しました。